「民法」という法律で「相続は死亡によって開始する」(882条)とあるように、「人」が死亡すると必ず「相続」が発生します。亡くなった方を「被相続人」、その方の一定範囲内の身分関係にある人を「法定相続人」と呼びます。
「相続って、なんか面倒で大変そう…?」と言われる方もいますが、相続の手続自体が複雑で面倒というわけでは必ずしもありません。被相続人が「遺言」を残していた場合には、まずそちらが優先されることになります(この遺言については本サイトで別個に説明してありますので、そちらをご覧下さい)。また、相続開始の時から法定相続人が一人しかいない場合にも、その人がすべてを相続するための手続をすれば足ります。
したがって、遺産をどのように分けるかという話合い(遺産分割協議)が必要となるのは、この遺言がない場合ということになります(ただ、遺言があったとしても、遺言の内容に不備がある場合や、相続人全員が合意のうえ遺言の指定とは異なる遺産分割をする場合等においては、やはり、遺産分割協議が行われることになります)。
この法定相続人間における遺産分割は、相続人全員の同意を得る必要がありますので、一部の相続人が参加せずに成立した遺産分割協議は無効になりますし、誰か一人でも反対があると、いつまでも遺産分割が成立しない状態が続くことになってしまいます。
このように、遺産の多寡にかかわらず、遺産分割においてなかなか協議がまとまらないことも希ではありません。そのような場合には、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立て、第三者(調停委員)を交えて協議をするということも必要になりますし、それでもまとまらない場合には、家庭裁判所は自ら当事者の主張と証拠によって判断し、「審判」によって、遺産分割の内容と方法を決めることになります。
この調停や審判の手続は、往々にして時間や手間を要しますし、また精神的にも肉体的にも疲れてしまう、場合によっては、身内間に大きな亀裂を作ってしまうというような深刻なケースも見受けられます。
死後の紛争をなるべく未然に防いでおきたいという場合には、やはり、お元気な今のうちに「遺言」を作っておくことをお勧めします。
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